社会的な成功を収め、莫大な資産を築くお金持ちの多くは、非常に高い「突破力」と「決断力」を持っていますが、それと引き換えに「維持管理能力」が欠落していることがよくあります。この稼ぐ力と整理整頓能力の反比例は、脳の機能的な偏りからも説明が可能です。大きなビジネスを動かすためには、細部に囚われず全体像を俯瞰する「右脳的な直感」や、リスクを恐れず前に進む「ドーパミン優位の気質」が必要です。これに対し、片付けや清掃という作業は、規則性や反復性を重視する「左脳的な作業」であり、これを得意とするタイプは得てして堅実で、冒険を好まない傾向があります。つまり、お金持ちの部屋が汚いのは、彼らが安定や秩序よりも、変化や拡大を求める本能に従って生きているからです。彼らにとって、使ったものを元の場所に戻すというルールは、自らの自由な発想を縛る制約のように感じられます。彼らは自分の周囲にある物質的な汚れや乱雑さに対して、驚くほど無頓着です。この「気にしない力」は、投資の世界において非常に有利に働きます。市場の一時的な暴落や、周囲のノイズに惑わされず、自分の信じる戦略を貫き通すことができるからです。部屋が汚いことを気にする神経質な性格よりも、カオスを許容できる図太い精神の方が、現代の不確実な経済社会では成功しやすいのです。また、成功者は常に「未来」を見て生きています。過去の産物であるゴミや古い書類には興味がなく、視線は常に次のプロジェクトや投資先に向いています。足元にゴミが散乱していても、彼らの瞳には数年後の成功の図像が映っているため、現実の不潔さは気になりません。稼ぐ力が強ければ強いほど、身の回りの些末なことへの関心が薄れ、結果として部屋は汚くなっていきます。この現象は、一流のプロスポーツ選手が自分の用具以外の管理を他人に任せるのに似ています。お金持ちは、自分のメインスキルを最大化するために、サブスキルである片付けを敢えて「捨てている」のです。もちろん、秘書や家政婦を使って完璧な秩序を維持するお金持ちもいますが、彼らの本質的な気質は、どこか野生の獣のように乱雑でエネルギッシュなものです。部屋が汚いことは、その野性味が失われていない証であり、彼らの内なる情熱が、社会というジャングルで戦い続けるための原動力となっているのです。