私はかつて、都会のマンションで静かな生活を楽しんでいました。しかし、その平穏はある日の午後、天井から響く不気味な「ピチャッ」という音によって永遠に失われました。見上げると、白い壁紙に薄茶色の染みが広がり、そこから不快な臭いのする液体が滴り落ちていたのです。すぐに上階の住人を訪ねましたが、何度ノックしてもドアは開かず、ただ中からカサカサという微かな音と、鼻を刺すような悪臭が漏れてくるだけでした。後に判明したことですが、その部屋は天井まで不用品で埋め尽くされた、いわゆるゴミ屋敷でした。水漏れの原因は、数ヶ月前から放置されていたトイレの故障でしたが、住人は溢れ出す水を止める術を持たず、ただその上に新聞紙を重ね続けることで現実から逃避していたのです。私の部屋の天井は数日でボロボロになり、お気に入りのソファもカーテンも、上階のゴミを通過してきた汚水によって修復不能なダメージを受けました。最も辛かったのは、上階の住人が「自分にはお金がないし、部屋に人を入れたくない」と頑なに拒否し続けたため、修理業者が立ち入るまでに一週間以上の時間を要したことです。その間、私はバケツで汚水を受け止める生活を強いられ、夜も眠れない日々を過ごしました。管理会社や弁護士が介入し、ようやくゴミの強制撤去と修理が行われましたが、その過程で目にした上階の惨状は、今でもトラウマとして残っています。黒ずんだ床、無数の害虫、そして腐敗した食べ残しの山。あのような環境で水漏れが発生すれば、階下への被害がどうなるかは火を見るより明らかです。結局、私はそのマンションを去ることにしましたが、被害に対する賠償金は上階の住人に支払い能力がなく、ほとんど受け取ることができませんでした。ゴミ屋敷の水漏れは、加害者が社会的・経済的に困窮しているケースが多く、被害者が泣き寝入りを強いられるという不条理な側面を持っています。集合住宅に住む以上、隣人がどのような生活を送っているかを完全に知ることはできませんが、水漏れという予期せぬトラブルが、他人の無責任な生活によって自分の人生を狂わせる可能性があることを、私は身をもって知ることとなりました。
隣人の悪夢となった上階からの浸水被害とゴミ屋敷の壁